歴史カフェ阿蘇!猫は根子岳に登らない!

日出処天子が国書をだした隋の史書に「阿蘇山あり」と書かれています。え?なんで阿蘇?って思いませんか?

阿蘇とはどんな意味なのでしょう

  阿蘇のいみは何でしょうか


白川静という学者を御存知ですか。
甲骨文字を研究して、漢字が本来どのように生まれたかを追求し、東洋とは何かまで迫った人です。何より漢字はその一字を見ただけで意味分かるというのです、見ただけでわかる文字だと。


では阿蘇の「阿」を見ましょうか。


阿   ア 
    やまのくま ・ のき ・しなやか ・こびる
形声文字で、発音は可(カ)。可には疴(ア)という音もある。


「説文解字」(許慎・きょしんが、漢字の成り立ちや意味を解説した本)には、
 『大陵を阿という。意味は「阝」に従い、音を「可」から取っている。また、或本には、曲がった阜(おか)だとしている。』
(白川氏の説明)
阜(フ)=阝 の部分には、もともと神霊が降りてくる神の梯子(はしご)の意味があり、その前で行われる種々の儀礼に関する字が多い。「阝」について、「説文解字」以来すべて「丘陵の形を意味する」としているが、卜文や金石文から分かるように、それは「神霊が降りてくる聖なる梯子であり、わが国でいう「梯立て(はしだて)」の形である。
だから、「阜=阝」を使ったかんじはその前で行われる儀礼の方法を表す字である。

たとえば
降    神霊の降下を示す文字
陽    玉を飾って魂降りの儀式を行うこと
限    呪眼をかかげて聖地への出入りを禁止すること
隠    呪具によって神の姿を隠すことを示す文字

つまり
古い漢字はみな「神事」に関するもので、その呪儀(じゅぎ)を説明するものである。


「可」 この字も、呪詛(じゅそ)し祝禱(しゅくとう)する意味がある。呪ったり祝ったりする意味の字である。


「阿」とは、神梯の前で神に向かって祝禱する意である。神梯はおおむね山すそのところに設けられ、祝祷は秘地で行われた。それで、阿は、もとは山のふもとの神を祀るところ、そこで祝禱する意味である。


なるべく分かりやすくしたのですが、かんたんにいうと「阿は、もとは山すその聖地である」、後に川べりの聖地をも云うようになったそうです。


蘇  ソ
   よみがえる ・ しそ ・くさかり
形声文字で、音は穌(ソ)が蘇のはじめのかたち。紫蘇(しそ)のこと。

 蘇息(息をふきかえす)・蘇生(生きかえる)などの意味に用いる。
金石文では国名に用いられ、字は穌である。国名以外には古い使い方が分からないので、字の意味は確かめにくい。


阿蘇についていえば、阿に決定的な意味がありましたね。蘇は国名ですか。そうかもしれませんね。
阿蘇とは神が降りてくる神聖なところ、全くその通りではありませんか。では、古代の人は、漢字の意味を知って「阿蘇山」と呼んだのですね。
なるほど。ますます阿蘇が魅力的になりましたね。

また、こんど。